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「―――…なんでこうなるんだ。折角、豊福を家に招いて親密度を上げた後、それなりの戯れをしようと目論んでいたのにっ。ナニが悲しくて好敵手や男とお茶をしなければならないのか。
はぁあ…、しかもなんで君が僕の隣を陣取るんだ? おかしいだろ?」


「仕方が無いではないか。空が照れてあたしの隣に座らないのだから」
 
 
鈴理先輩、それは違うっす。

純粋に貴方様の隣に座ると揉め事になると思ったからお断りしたんっす。

友達の隣に座っていた方が俺の身の安全も確保できるでしょうし。


それから御堂先輩。

“それなりの戯れ”ってナニをしようと思ったんっすか?

健全なことっすよね?

俺は彼女にでさえキス以上は認めていないんっす。

よって彼女ではない貴方様はキスもボディタッチもNGっす! シたら最後、俺が殺されかねない!
 

ブルッと身震いをしつつ、ズズッと薄茶を啜る俺はホッと一息をつく。
両隣に腰掛けているフライト兄弟も一緒に薄茶をついて一息。

揃って薄茶のお味を噛み締めていた。

あーウマイ、このお茶、それなりの値段の味がする。高値の味がする。



ちなみになんでフライト兄弟がいるかというと、俺が無理やり二人を巻き込んだからだ。

 

結局あの後、身売りについてはあたし様とプリンセスから散々叱られてしまい(各々体を大切にしろと言ってくれたけど…だったら押し倒しもやめてもらいたい。俺の体を気遣ってもらいたい!)、それじゃあどうしましょうになったから、鈴理先輩が譲歩案として和気藹々近場の茶屋で談笑をしましょうと話をもっていってくれた。

御堂先輩は不満気だったみたいだけど、最後は折れてそれに乗っかってくれたから現在に至る。


フライト兄弟を巻き込んだ大きな理由として挙げられるのは、「攻め女+α」によりかは「攻め女+ααα」の方が心強いと思ったから。

 
だって攻め女が二人もいるんだぞ?

一人だって手一杯なのに、二人をいっぺんに相手しろとか難易度が高すぎる。

ただでさえ二人とも心身押しが強いんだ。

一人で相手にしろとか、貞操を差し出せといわれているようなもの。