「やめて下さいって!」ジタバタと身を捩り、全力で抵抗する俺を簡単に丸込めて、「照れ屋さんだな」耳の縁をべろべろべろん。
ゾゾッと背筋を伸ばたところに、ふーっと息を吹きかけられて受け身男は見事に硬直。
隙を突いた彼女はグッと顔の距離を縮めて、優しく髪を梳いてくる。
「これからは労わりの時間だ。親衛隊に傷付けられた箇所あるだろ? 全部僕に見せて、曝け出して」
「み…御堂先輩」
「心配させたんだ。それくらいのことはさせろ。な? 君は大事な体なんだから。何処をやられた? 足、腹部、それとも背中? 労わった後は、その傷心を癒して、そして」
艶かしい手つきで彼女が体躯に触れようとしたその瞬間、ビュンとベルト鞭が飛んできた。
「おっと」俺を庇うようにそれを避け、雄々しくも素手で掴む御堂先輩は、
「まったく」
ムードを読んで教室から退散してくれないか、と向こうに視線を投げる。
んふふっ、不敵におかしな笑みを漏らす鈴理先輩は止めようする親衛隊の手を振り切って、出て行くわけないだろうと口元を引き攣らせた。
「それで攻め女のつもりか? まったくもって生ぬるい攻め方だ。不合格だぞ」
「ははっ、君は野蛮な攻め方をしているようではないか。何事も雰囲気作りは大切だと思うがな。所構わず、どっこでも押し倒す君は発情した雌猫のようだぞ。まさしくケダモノじゃないか」
「あんたも似たようなものじゃないか。あたしの前でよくも空を押し倒してッ…、それはあたしの物だぞ」
「僕は此処で彼を頂くつもりはなかったさ。ただ傷付けられた心身を労わろうとしていただけ。ふっ、豊福を物扱いなんて、それこそ野蛮だな。君は本能で生きるだけの攻め女かい?」
「とか何とか言って、ほーんとうは食おうとしていたのではないか? このむっつり。しかもあんた、素をまだすべて曝け出していないだろ? 腹黒のくせに」
「まったく…。君って女は無礼な奴極まりないね。おかげさまで水を差された気分だ」
ピッシャーンゴロゴロ。
二人の背景に青いイナズマ、かち合う視線の間に青い火花、こめかみには青筋、ベルトを引き合う光景はまさしく女の戦いそのもの。
巻き込まれたらひとたまりもないよな!



