澄んだ瞳に暖かな光を宿している彼女は一切、逃げを許さない。
視線を逸らそうとする俺を捉えてくるばかりだ。
向こうで鈴理先輩がギャーギャーと騒いでいるような気がするけど、親衛隊がそれを止めている気もするけど、フライト兄弟がおいおいと青褪めている気もするけど、俺はそれどころじゃない。
俺は俺で一杯一杯だ。
ちょ、ちょちょ、きょ、距離が近い。激近い。
そしてナニ、この不慣れな展開っ、おぉおお俺は今、攻められているのかっ、なあ?! おにゃのこポジションに立たされているのか?!
どうにかして状況を打破したいけど、右も左も御堂先輩が逃げ道を塞いでいる。
じゃあしゃがんで離脱しようか。
俺の思惑を糸も容易く見破ったプリンセスは懐に踏み込んでくる。
よってしゃがめない。
右左下の逃走は不可、では上…、無理、物理的に不可能。
豊福空は追い詰められた!
こうなれば両肩を掴んで押し返そう。
引いて駄目なら押してみろ、だ。
試みて見事に失敗するのは二秒後の話。
肩を掴む間もなく骨張った指に俺の指が絡め取られた。アウチ、万事休す!
アタフタする俺は愛想笑いで、戯れはやめましょうよっと宥めにかかった。
「戯れじゃないと言えば?」
こてんと首を傾げてくるプリンセス御堂、小悪魔に綻んでくる。
何もかもが本気なのだとのたまう彼女は、先程の台詞を繰り返した。「豊福は僕が君を嫌いと言えるか?」と。
「いや…、でもおぉおお男ですし。た、助けてもらったことは、か、感謝してますけど」
「嫌いと言えるか?」
「お。男で…」
「言える?」
「(話を逸らしてくれないし!)あぁああっと、す、好かれている方だとは…、思いますっす」
「思うじゃない。好いてるんだ」
ガチ告白をこんなところでしないで下さいよっ!
うわぁああ、ま、ままままマジで、これは少女漫画チックな展開だぞ!
どうにかしないとっ、俺の性格と経験上、流されちまうっ、流されちまうから!
「そ、そうっすか。なんか。て、照れちゃいますっすね。あはは」
「豊福、僕は君が好きなんだ。君となら生涯を共に歩んでもいい」



