「さあ、誰からヤられたい」


重々しい沈黙している空気を裂いたのは御堂先輩。

プリンセスはイケた顔で残酷なことをのたまうと、ググッとベルト鞭を握り締めてこめかみに青筋を立てる。


泣いても叫んでも喚いてもヤめてやらないから安心しろ、まさしく鬼畜な言の葉を並べてニッコリ。

容姿端麗な方が仰ると鬼畜度が増すのは何故だろう。


親衛隊の皆様方は、発言に対して何を思ったのか、

「ヤられるなら是非とも鈴理先輩にして欲しいです」

と果敢にも声を揃えた。

その勇気には天晴れっす。


でも薪に油を添えたみたいっす。
御堂先輩のこめかみにまた一つくっきりと青筋が。 


「僕はすこぶる男が嫌いでな」
 

特にこういった姑息で卑怯な行為をする男が嫌いで嫌いで仕方がないんだ、肩に鞭を置いて一笑。

今後このような事がないよう、直々に道徳指導をしてやる。


なーんて言うものだから、親衛隊の皆さん、ビシッと背筋を伸ばして「十二分にしてもらいました!」と口を揃えた。
きっと身の危険を感じたに違いない。

だよな、御堂先輩…、持ち前の腕力でご指導しそうだもんな。

相手は男だし手加減は一切なさそう。
 

「口出しはしない約束だった筈なのだがなぁ。」


ギリリッと奥歯を噛み締めている鈴理先輩は、怒を露にしてバシバシとベルト鞭で床を叩きつけた。


その度にハァハァハァ…、だけど御堂先輩に睨まれて、はい、反省モード。

駄目だこいつ等。救いようがない。


「キモイな」アジくん、「同性と思いたくないよね」エビくん、「Mにはやっぱなれないや」俺、親衛隊の様子に肌を粟立たせた。