前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



今か今かと待っていた親衛隊の長、副長は俺の姿を捉えるや否や、ちょっと来いとばかりに唸って迫って来る。

その形相とオーラから、見るからにヤーな予感しかしない俺は、「いや今日はちょっと用事が」なんて言葉を濁して愛想笑い。

戦闘が始まる前にエスケープしようと試みる。


だけど彼等は有無言わせず、さっさ両脇に立って腕を取り、そのままズルズルと俺を引き摺った。

頓狂な声を上げる俺を余所に、親衛隊が連れ込んだ場所は校舎外の体育館裏。
正しくは体育館裏付近の古びた用具倉庫。


あらかじめ錠を解除していたらしく、倉庫は開いていた。


まさしくリンチの場所にうってつけの場所に連れ込まれた俺は、中に押し込まれてドッと冷汗を流す。


親衛隊隊長と副隊長からヒシヒシと感じる怒りも怖いんだけど、倉庫内にいる他の親衛隊の方々もチョー怖い。
俺をギンギンに睨んでウェルカムしてくれる。


マジっすか。本気っすか。俺対親衛隊、リベンジ編っすか。


しかも今度は鈴理先輩抜きとかっ、どういうシナリオを描きたいのか容易に想像付いちまうんだけど!

 
恐れ戦きながらも親衛隊の皆さんに、どうもっと取り敢えずご挨拶。

一身に嫉妬の眼を浴びながら、ささっと後ずさって踵返すんだけど、柳先輩の手によって無常にも扉は閉められた。

薄暗くなる倉庫内を満たすのは殺気のみ。


うわぁああっ、こぇえええよぉおお、そんじょそこらのB級ホラーよりも怖いぞっ、この状況!

展開が見越せる分、恐怖心が余計煽られるっていうかぁあ!


……ははっ、俺ってば超人気者!

こんなにも沢山の方々から(男ばっかだけど)、ある意味お熱い視線を送られるなんて(殺意ガンガンだぜ!)、俺、シアセモノ!

もう、ポジティブにならないとやってらんねぇ! 泣きたい半歩手前でい!
 

ゴクリと生唾を飲む俺は、「なんか用っすか」努めて愛想良く質問。

一応、俺等と親衛隊の間には契約が交わされている筈。

そう、俺達の関係に口を出さないっていう契約が。それを忘れちゃないっすよね、親衛隊の皆様。
 
「なんの用だぁ?」地を這うような声を出したのは副隊長の高間先輩。ガンッとバスケットボールの入ったカゴを蹴って俺に吠えてくる。