「よし。キスを仕掛けて、あたしに飛びつくはどうだ。とても意地らしいではないか!」
空の好き好きオーラを醸し出して甘える姿が見たい。
それこそ愛犬のアレックスのように好き好きオーラを醸し出す甘えたな空が見たい、いや見せろ、今すぐに。
それが所有物のやるべきことだ。
だんだんと高飛車口調になる鈴理先輩に俺は引き攣り笑いを作った。
出たよ、あたし様っ、そんなこと急にできるわけないじゃないっすかっ。
此処は学内っすよ、中庭だとはいえ、人目があったりなかったりなんすっから。
意地の悪い期待を含む眼が飛んでくる。
受信拒否したいけど、後々怖いから取り敢えず受信はする。受信は。
「それとも」あんたは玲の方がいいのかなぁ、わざとらしい溜息に俺は追い詰められた。
数日前、俺はプリンセスと呼ぶに相応しい先輩に告白された。
本気も本気の告白でお付き合いどころか、婚約しろとまで迫ってきたもんだから、その日、俺は地獄も地獄を見たわけなんだけど(主に鈴理先輩が生み出す地獄は恐怖も恐怖ですた)。
んでもって仕置きをされそうになったりうんぬんかんぬんだったわけだけど(実際仕置きされますた)。
御堂先輩が正門前で大告白大会をしてくれたおかげで、俺は財閥界、学校、二世界でめでたく噂の人になっちまった。
それが鈴理先輩の怒りを買ったんだけどさ…、この音読も仕置きの延長線上だったりするわけだけど。
でもでも俺の気持ち、どっちに傾いてるか知ってるくせに意地悪いっすよ先輩。
受け身男は伊達じゃないっすよっ、自分から動くって超勇気がいるんっすからね! ねっ! …ねっ!!
ニタリニタリしている性悪攻め女に唸って、俺は赤面しながらそっぽ向いた。
だけど体は勇気を振り絞ってみせる。
寝転がったまま座っている彼女の体に擦り寄った。
いや、膝に乗り上げた。
柔らかな膝に頭を預け、そっと彼女を見上げる。
そして異議申し立て、「先輩は忘れていますっす」不貞腐れ気味に物申した。キョトン顔を作る彼女の右頬に触れる。



