「どっちに食われるか、見物だな。ま、頑張れ」


 
前略、今日も不況に抗おうと汗水垂らして必死に働いている父さん、母さん。

あなた方の息子、豊福空は大変な学院生活を送りそうです。

何故なら“攻め女”がもうひとり増えてしまったのです。


これから俺は二倍逃走、二倍貞操の危機、二倍彼女の仕置きを覚悟しないといけないようです。


なんでこんなことになってしまったのでしょうか?

やっぱりイチゴ大福に釣られてしまった俺に原因があるんでしょうか?


それとも財閥交流会に行ったことが原因?



ああもう、どうにでもしてくれってかんじです。




「俺、貞操守りきれるかなぁ。とてつもなく自信がなくなってきた」



近未来の地獄を思い描き、俺はついつい目尻に涙を滲ませてしまった。






「旦那様、奥方様、玲お嬢様はやりましたよ。これで御堂財閥も安泰です。ああっ、あの玲お嬢様が男の方に好意、なんて喜ばしい光景でしょう」


正門付近の電柱陰では、俺とは別の意味で涙を滲ませていた婦人がいたとかいなかったとか。
 



⇒Chapter2