そりゃあもう毎日が死に物狂いでした。
今もセックスに関しちゃ逃げまくってますけど、当時は女扱いされるのすっごくヤでした。
でも徐々に気になり始めちゃって…、友達の助言でお付き合いしてみようって思ったんっす。
お付き合いから始める恋愛もいいんじゃないかって言われて、じゃあそうしてみようって付き合ったところ、いつの間にか落ちてました。
攻められっぱなしで女扱いばっかしてくる彼女ですけど、でも彼女が喜んでくれるなら俺はポジションを譲るっす。俺は姫でいい。先輩の姫でいいっす。
いつも傍にいてくれた彼女はあたし様をいかんなく発揮しながらも、俺を支え、守ってきてくれた王子。
そんな王子の傍に俺はずっといたい。
「努力もしないで嘆くより、努力して後悔した方が胸張れると思いませんか。御堂先輩」
「―――…」
古びた窓辺の向こうから垣間見える夕空。
大空を舞うのはカラス達だろうか。
群で動き、自分達のねぐらへと帰って行く。
脱ぎ捨てたブレザーをそのままに、ソーサーの隅に置いていたイチゴ大福を手に取って口に押し込む。
イチゴの甘酸っぱい酸味が胸に浸透する気がした。思った以上に感傷に浸ってるのかもな、俺。
「君は」
不意に聞こえてくる御堂先輩の声、視線を戻せば微苦笑を零すプリンセスがそこにはいた。
「本当に鈴理が好きなんだな。傷付くと分かっていても傍にいるなんて…、口を開けばあいつのことばかり優先にしている」
「往生際が悪いんっすよ俺。それに、彼女の我が儘は聞いてあげたいですから。俺のできることなんて、高が知れているっすけど」
苦笑を零し、俺は相手に礼を告げた。
キョトン顔を作っている彼女に、「気を遣ってくれたんでしょう?」貴方は優しい人なんっすね、と目尻を下げた。
男嫌いではあるみたいだけれど、この人は根本が優しいのだと思う。じゃなきゃ、憎まれ口を叩きながら気を回してくるか?
「豊福…」物言いたげな御堂先輩に、「身分なんてなければこんな悩み」持たずに済んだのかもしれませんね、とおどけてみせる。
「鈴理先輩みたいな美人さんとお付き合いできるだけでも、幸せ者なんっすけどね」
「豊福、君はそこまで鈴理を―…そうか。あいつをそこまで。だが、とてつもなく面白くない。何も知らない鈴理も、現状にも」
一変して舌を鳴らす御堂先輩はミルクティーを飲み干し、そろそろお暇すると腰を上げた。
え、もうっすか。
もう一杯くらい紅茶、飲んでいけばいいのに。



