前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



溜息をつき、俺はカップの中身を一気に飲み干すとソーサーにそれを戻して、ブレザーをぞんざいに脱いで畳に投げ放る。
 
カッターシャツもボタンを外して同じように放ると、下着のシャツも脱いでワイルドに上半裸になってみせた。

マジマジ熟視してくる御堂先輩は、やっぱり胸はないと肩を落としてちゃぶ台に肘を突く。


だから言ったでしょ、俺は男だって。

もういいっすか? 服着ますよ? ぺったんこだって分かったでしょ?
 

「それにしても凄いな。そのキスマークの多さ。目を瞠るぞ」


いったい幾つ付けられてるんだ、「ひーふーみー」キスマークを数え始める彼女のせいで俺は目元を赤くした。
 
急いでシャツを着て、キスマークを隠すけど完全には隠し切れない。俺自身も分かっている。

それでも隠したかったんだよ…、すっごい数だってことは知ってるしさ。

これは鈴理先輩の気持ちの表れだ。
欲求不満がキスマークに出てるというかなんというか、セックスは勘弁して欲しいから、キスマークは甘受している。


結果、こうなっちまったってかんじ。


イソイソとカッターシャツに腕を通していると、「本当にアイツに愛されてるな」面白く無さそうに彼女は鼻を鳴らした。
 

「君に関心がいったから、僕とあまり競り合ってくれなくなったのかもしれない。何度勝負を持ち掛けても、最近の鈴理は流してしまうんだ」


ぶう垂れている御堂先輩は、続け様に言う。


なんで君は鈴理の傍にいるんだ、と。


勿論、俺が彼女のことを好きだってことは分かってる。
だけれどアイツには許婚がいる。いずれは別れる運命になるんだぞ。

辛辣で現実味ある台詞に、ボタンを留める手が止まりそうになる。

でも踏み止まった。手つきは遅くなるけど、留める手は継続している。


「やっぱりいつかは」


そうなるんでしょうか、俺は相手の顔を見ずに質問返し。

間を置かず、正直に返答してくれる御堂先輩の気遣いに感謝しながら、俺は胸に引っ掛かっていた気持ちを彼女に吐露した。

これは鈴理先輩には、そして大雅先輩には絶対に言えない気持ち。