―――…コポコポ、カップにお湯を注ぐ音が沈黙している部屋一帯に響く。
台所でもてなしの準備をしつつ、俺はお茶っ葉が切れていたことを御堂先輩に詫びた。
あると思ってたんだけど、茶筒を見てみたら見事に空っぽだったんだ。
もてなす気持ちはあるし、できることなら買いに行きたいけど、両親の給料日までまだ日がある。お茶っ葉を買い行く余裕はない。
だから紅茶で代用。イチゴ大福と紅茶、合うようで合わないこの組み合わせに謝罪し、俺はストレートティーの入ったカップを持って彼女の前に置く。
「ご要望があればミルクティーもできるっす」
牛乳は冷蔵庫にあるから、そう告げるとじゃあミルクティーにすると御堂先輩は返答。
よって俺は彼女のためにミルクティーを作り(ついでに俺もミルクティーにして)、ちゃぶ台を挟んで向かい側に腰を下ろす。
紅茶と一緒に御堂先輩の土産を頂くことにした俺は彼女に白と黒、どっちが良いか聞いた。
「白が好きなんだ」
ぎこちなく微笑を向けられ、俺も同じ表情を作り、長方形の箱から個包装されたイチゴ大福を取り出して手渡す。
俺は黒が好きだから黒を頂こうかな。
ぺりっと封を開け始める御堂先輩に倣い、俺も黒を手に取ってビニール包装を剥がす。
で、そのまま口に…、大感激。
イチゴさんが俺の口内いっぱいに広がってっ、美味い、超ウマイ。老舗で買ってきたものかもな、これ。
……ウマイ筈なのに、なんで喉に詰まるような思いをしなきゃならないんだろうな。原因は分かってるけど、分かっちゃいるけど。
ズズッ。紅茶を啜る俺に倣って、御堂先輩も紅茶をズズズッ。
ムシャムシャ。
咀嚼、咀嚼、咀嚼。
無言でイチゴ大福を食べる俺等の取り巻く空気は“最悪”の一言に尽きる。
なんて重々しい空気なんだろう。この場にいる事が本当に辛い。



