前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



ふふっと笑う先輩は、嫌だったら突っぱねても良かったんだぞっと微笑。


途端に俺は一の字に口を結んでしまう。

またそーやって意地悪ゆーてくるんっすから…、俺がそれをできない前提で言ってるでしょ? ですよね? その目は絶対楽しんでるでしょっ!


「そーら。いいんだぞ、抵抗しても。空も男だもんなー? 受け身ばかりではなく攻めたいもんなー?」



顔を覗き込んでニコーッと笑ってくる先輩に、俺は小さく呻いてポツリ。


「……、抵抗できたら苦労しないっすよ。先輩だから許してるんっす」

「ほう、それは何故?」


なんっすか先輩!
言葉攻めっすか、今日の気分は!
とことん意地悪いっすよ!
エスいっすよ!

ど、どーせ羞恥を噛み締めている俺を見たいが故の意地悪でしょうけど、でも、そう簡単に手に乗ってやらないっす!
 
理由を尋ねてくる先輩に向かって、


「好きだけじゃ…」


理由になりませんか、赤面しながらも頑張って告白してみる。


「それとも理由あった方がいいっすか?」


なら頑張って理由作りますけど、フイッと先輩から視線を逸らして俺はまた口を閉じる。 

受け身男も言う時は言いますですよ。
ええ、言わないとやってられるか! って気分っす。

一種の自棄っすかねこれ。


すると先輩は意表を突かれたような顔をした。

でもすぐに破顔して、「いや」十分過ぎると一笑。

弄られ過ぎていじけ虫になっている俺にごめんごめんと謝罪して、そのまま「お詫びに沢山可愛がってやる」ってまた距離を詰めてき…たー…、うをーい…、それ、全然お詫びになってませんから。

「ヤりませんよ」念を押せば、

「ああ分かってる」空はそう思っておけばいい、と鈴理先輩。



………。


それってフカヨミすれば、俺の意思とはカンケーなしに事を進めるぞって台詞っすよね。

だからぁあああ、なぁああんでそうやってご都合なことばーっかしようとするんっすかね、我が彼女は!