ウッキウキ声で言う彼女。
首を傾げる俺だったけど、やっと熱が少しだけ冷めて状況判断ができるようになる。
 

……、あれ、俺のブレザー、下に落ちて…、いつの間に脱がされた?


んでもって、あっらーカッターシャツが開襟されている。


ボタンもぜーんぶ外してくれちゃって…、下着のシャツが見えちゃ…、って、うをおおおいっ!



「なっ、ななななっ、ちょ、うぇえええ?! ありえないっす! なにっ、テクニカルなことをしてくれてるんっすか!」



慌てる俺を余所に、お触りお触り、先輩の手がじかに背や腰を撫で回してくる。


ぎゃあああっ、え、エッチィイイ! 先輩のエッチ! 逆セクハラ反対! ついでにセクハラも反対!


「お、男にセクハラしても楽しくないでしょ!」

「あたしはとても楽しい」


ああああっ、先輩はそういう人でした。そうでしたね!


「楽しまないで下さい!」


大パニックに陥っていると、


「キスをしながら脱がすと場が盛りがるらしい」


まさにそのとおりだな、彼女は天使の笑みで悪魔な発言をしてきた。


これもケータイ小説で学んだことだとか。


畜生、あの悪魔本め。
先輩に余計な知識を植え付けやがって!


いや、あの本は本来女の子がキュンするような要素いっぱいなんだろうけどっ…、変わり者の先輩はそれを俺に試すもんだからタチが悪い。

男が女に、じゃなく、女が男に、だもんな。
先輩のモットーって。
 
「シないっすからね!」

どうにかセクハラの手を止めることに成功した俺は、彼女の肩を掴んでちょい距離を置かせる。

まーったく気にしていない彼女は、「エロイ格好だな」俺の身形に一笑してきた。


……エロイは省いて、誰がこんな格好にしたと思うんっすか!

ああもう、最悪っす!
 

急いでシャツのボタンを留め始める俺は、「男の自尊心皆無っす。ボロボロっす」嘆いてグチグチブツブツ。