前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



毒づいても状況は変わらず、先輩は鼻歌を歌って教室を出ようとする。

断固として録音会を阻止したい俺はドア枠にしがみ付いて抵抗姿勢、行きたくないヤりたくない死にたくないとブンブンかぶりを振った。


「こら!」抵抗するとは生意気だぞ、怒鳴ってくる彼女を総無視して俺は自分自身のためにドア枠にしがみ付く。
 

「あーあ、平和だねぇ。あいつ等もようやるわ。
豊福も早くヤられちまえばいいのに。そしたらちったぁ鈴理もおとなしくなるっつーのに。逃げれば逃げるほど、あいつを焚きつかせてるって知ってるんかねぇ」


呆れて頭の後ろで腕を組む川島先輩。
 

「でもあれがお二人らしいですわ。見ている側としてはああでなくっちゃ、面白くないですし。ねえ、大雅さん」


微笑を浮かべる宇津木先輩が大雅先輩に同意を求める。直視した彼は軽く頬を紅潮させて、「おー」生返事。
 

「あらどうしたのですか?」「いやべつに」「お顔が赤いような」「教室が暑いんだよ」「ああ、空さんに見惚れて」「っ、テメェはどうして毎度まいどっ。お、俺は!」「俺は?」「お…おぉお俺は、その」「その?」「ッ~~~なんでもねぇ!」


和気藹々と会話を交わしている二人に、こっちもおアツイことっと川島先輩は肩を竦めていた。
 


「ま。平和が続けばいいんだけどねぇ。なんっか、一荒れきそうなんだよね」



彼女の予感は俺を含む誰一人の耳にも届かなかった。