それを狙っていたのか、しっかりと俺の体を抱き締めて笑声を漏らす。
「せ、先輩勘弁して下さいっすよ。下ろしてくださいっす。目に毒な光景っすよ、これ」
「嫌だ。あたしは空をこうしていたいんだ」
この三日間、俺とは反比例で先輩はご機嫌一色だった。
単に彼氏の嬌声を聞けたから、じゃなく…、こうしてご機嫌な様子を見ていると恋人同士のスキンシップが一歩進んで嬉々を抱いているみたい。
なんだかんだで俺、行為からは逃げてるからな。彼女には嬉しかったみたいだ。
攻めモードとは違った笑み。
子供みたいに喜んでくれるから、結局俺は諦めて彼女の我が儘に付き合っちまうんだよな。
どんなに恥ずかしい思いしても、さ。
「空の嬌声っ、もっかい聞きたいっ。そーらっ、鳴いてくれっ! 今度はな、ちゃんと携帯で録音しておくから! 何度だって聞けるようにしておきたいのだ!!」
………、前言撤回。
我が儘に付き合いきれないこともあります。ネバーギブアップ!
「い、嫌っすよ!」
録音とかされた日には羞恥のあまりに昇天するっ!
青褪める俺に、「ヤると言ったらヤるのだ」あたし様は命令だとニヤリ。
早速今から録音会をするなんぞとほざきだしたものだから、ちょ、マジっすか。何処でヤるんですか?! まさかの学内っすか?!
そ、そんな殺生なッ…、空き教室でヤろうがなんだろうが、そんなことされた日から俺、不登校になっちまいますよ!
身を捩って腕から脱しようとする俺を押さえ込み、「これも愛だぞ」スンバラシイ告白をしてくれるけど、愛が間違った方向に重いっす!
「センッパイィイイイ! ま、マジで勘弁っすっ、お願いっすぅうう!」
「うーむ。空、悲鳴ではなく嬌声があたしは聞きたいのだ。悲鳴は飽きた」
「飽きたとかそういう問題じゃないっすっ! 俺は何度だって悲鳴を上げますよ! 先輩の悪趣味っ、肉食女っ、あたし様ジコチュー!」



