「鈴理さんと正式にお付き合いするって時点でご覚悟はできていたのでしょう? それに世の中には空さんのように喘ぐ男の人、沢山いますわ。わたくし、多々見てきましたもの!」
「それってお相手は野郎っすよね! 宇津木先輩のご趣味の話っすよね!」
「大雅さんだって楓さんを多々鳴かせてき「百合子っ、テメェ妄想も大概にしやがれ―――ッ!」
怒声を上げる大雅先輩に、「照れちゃって」おほほっと宇津木先輩はのんびりのほほんと笑声を漏らす。
青筋を立てる某俺様はわなわなと体を震わせ、
「なにが悲しくて兄貴を鳴かせにゃならんのだ」
ありえないと地団太を踏んでいた。
ははっ、相変わらず仲良しこよしっすね。お二人さん。
溜息をつく俺は腰を上げて、パッパッとズボンについた埃を払う。
「まあさ」それまで傍観者に回っていた川島先輩が、軽く笑みを俺に向けてそんなに落ち込む必要はないって、と改めて励ました。
他人事だと思って、恨めしく相手に視線を流すけど、向こうは素知らぬ顔で鈴理先輩を顎でしゃくる。
「鈴理、超嬉しそうじゃん。あんたがどんなにキショイ思っても、あいつはそうじゃなかった。それでいいんじゃない?
周囲がどう思うと鈴理はあんたのことラブだから、念願の戯れができて嬉しかったみたいよ。
うち等もあんたが嬌声漏らそうが、何されようが今更だって思ってるし」
あんただって満更ではなかったんじゃない?
揶揄されて俺は呻いた。人の羞恥を笑い話にしてっ…、べつに、先輩とあーだこーだするのに文句はないっすよ。文句は。
ただ、肉食系女子に攻められた草食系男子の悲しいサガを改めて思い知らされたもんだから、ちょっち(いやだいぶん)嘆いていただけっす。
……今回のことは不可抗力ながらも、俺が悪いんですし、っと?!!
奇襲・変化球ともいうべき小さな体躯が俺にタックル、そのまま体を持ち上げてきた。
犯人は勿論、謂わずも俺の彼女。満面の笑みを浮かべて、
「空はあたしのだ」
らんらんと見上げてくる彼女は小躍りするように俺を持ち上げたまま、その場でグルッと一回転。
「うわっち!」落ちそうになったから、思わず相手にしがみ付く。



