状況を把握した俺は顔から火が出るんじゃないかってくらい赤面し、鈴理先輩は物凄く嬉しそうな声で、
『空の声、今、鳴いたな? 鳴いたよな!』
『うっ…、その』
『ッ~~~、やっと此処まできたんだなっ。思えば長い道のりだった。もっと聞きたいっ…、空、もっと鳴け!』
『い、今のは放送事故っすからっ、ちょ、や…やめっ、先輩ィイイイイ!』
……なによりも耳を嬲られた時は酷かったなぁ。
俺、耳が弱かったみたい。
いや視界が奪われていたから、弱くなっていたのかも。
とにもかくにもっ、俺は、俺はヤっちまったんだっ! 受け男としてまた階段を上った!
イェーイ、受け男万歳っ…、はは、乙俺。男の俺バイバイネ。
ウェルカム女の俺ネ。
ん? オカマの俺? なんでもいいやもう。
「もう駄目っす」俺の人生終わった、頭上に雨雲を作って落ち込んだ。それはそれは落ち込んだ。
かれこれ三日間、俺はこの調子。
家でもこの調子。
だから父さん母さんに心配されたよ。
ごめん、父さん母さん、んでもって混乱させてごめん。
落ち込んだ俺が突拍子もなく、「俺さ。娘になってもいい?」とかほざいたもんだから、二人に超驚かれたよ。
まさしく度肝を抜かせちまったよ。まさか息子がそんなって顔されたよ。
ちょっち回想してみると。
【あの日あの時あの瞬間の豊福家】
「空さん、どうしたの? 落ち込んでるみたいですけれど」
夕飯の途中、落ち込んでいる俺に気付いた母さんが声を掛けてきてくれた。
なんでもないと言いたいけれど、男の自尊心HPがゼロ寸前の俺には大丈夫の一言も言えず、ただ黙々と飯を食うだけ。
見かねた父さん、「空。遠慮は要らないんだ」お前は自分達の息子なんだから、と優しく言ってくれる。
だけど自分が喘いだという、あのショックに耐えかねている俺はずーんと落ち込むだけ。
父さん母さんの前じゃ滅多に落ち込まないけど、流石に今回の一件は自己嫌悪も自己嫌悪。
嗚呼、肉食女に食われる草食男ってこんなにも哀れな末路を迎えるのかと悲観。悲観。羞恥。悲観。苦悶。悲観。
だって女の子に鳴かされる男ってどうよ。



