前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



闇に一光が射すとはこのことである。

パァッと目を輝かせ、両手を合わせて喜びを露にする一子に、源二も肩の荷が下りたような気持ちに駆られた。

ようやく男に興味を、嗚呼、どれほどこの機を待ち望んでいたことか。


「調べはついているのか?」


娘が興味を抱いた男について問う。
勿論だと仕事の早い蘭子は、懐からメモ紙を取り出した。
 

「先に申し上げますと、実は財閥の方ではないのです。一般の方でして」


「よいよい」源二はこの際、身分はとやかく言わないと強く言い放った。

娘が“彼女”を連れて来るよりも随分マシではないか!

彼女を連れて来られた日のイメトレをこっそりしていたため(嗚呼。なんてムナシイ)、興味を持った相手が男であるという事実に歓喜の涙が出そうである。


「私立エレガンス学院に通われている一般の方で、お名前は豊福空さま。
ややご家庭に苦労を背負われた方でして、特別補助制度を受けている特待生だそうです。ですが、ご家庭のために特待生になられているとは凄いですね。
…まあ、実親を亡くされているそうで、今は叔父叔母に引き取られているそうですよ」


「そうなのですか、それはさぞご苦労があったのでしょう」


同情する一子に相槌を打つ蘭子は、「それから」少しばかり顔を顰める。

曇る顔に何か問題のある男なのかと夫婦は口を揃えた。

首を横に振るものの、蘭子は吐息をついて肩を落とす。


「この方。彼女持ちなのです」


なんだ、と夫婦は微笑を零した。
それは娘の努力次第でどうにかなりそうではないか。って…、え、彼女持ち。


せ、折角男嫌いの娘が男に興味を持ち始めたお相手には既に“彼女”がいるっ?!
 


「しかも…、鈴理令嬢の彼氏でして」



うちの娘同様、変わり者と称されている竹之内財閥三女の彼氏、だと?