家に帰ってもやる事がなく暇を持て余す。




「…行くかな…」




別に夜遊びにではない。




チャリをこいで着いたのはバッティングセンター。




無心でバットを振って、響く快音を聞くと気分がいいじゃん?




嫌な事とか悩んだりとか、そういう事を忘れられるから時々来るんだ。




数十分そんな調子でバットを振り回し、暫し休憩を取っていた。




そんな時だった。




隣の打席に同い年くらいの女が居たのに気付いた。




“いつから居たんだろう…”




全く音が聞こえなかったから気付かなかった。




彼女は一生懸命バットを振るが、ボールには当たらず空を切る。




時々「もう!!」とか悪態をつく姿に少し癒され、思わずプッと吹き出してしまった。