驚く私の前で、成本君は誤魔化すように伸びをした。 ここまでなら普通に良い人なんだろうけど…… 「あ、水城。このコップ持って行ってくれ」 自分でやってよ。 ……そんなに人を従わせたいか、この悪魔。 私は無言で成本君を見つめて(正確には、睨んで)部屋を出る。 はぁ……。 やっぱり、この人嫌い。 「ほら、行くぞ」 成本君はズンズンと先を歩いてしまう。 私はコップを持って、そのあとを大人しく歩く。