ありがとう。と言い残して、去っていく背中を見る。 その背中が見えなくなってから、私は「メイド、やってもいい」なんて言ったことを後悔し始めた。 メイドとか、やめとけば良かった。 よりにもよって、あのクソ男にこき使われるなんて…… コーヒーを厨房にいる人から受け取った私は、イライラMAXで成本君の部屋に向かう。 「失礼します」 ―― バターンッ 声は静かに。けれどもドアは荒々しく開けた。 コーヒーを成本君に渡す。 成本君は怪しそうにそのコーヒーを見た。 ……何も入れてねーよ、性悪。