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 ハルコは――喜んで、手伝いをさせてくれた。

 いろんなことも話してくれて、彼女がカイトの元秘書であったことが分かった。

「あ…そうだったんですか」

 道理でただの家政婦にしては、カイトのことをいろいろ知っているわけだ。

 2人の間に流れる不思議な空気の意味も、これで理解できたのだ。

 そして、社長と秘書という構図が、とても似合う2人であることに気づく。

 彼女なら、どんなにカイトに怒鳴られようとも、きっと軽く受け流せるのだろう。この笑みで。

「彼は、本当に何も話してないの…ふふ、まあ話すような人じゃないわね」

 そう、きっとこんな笑みだ。

 社長に向けているというよりは、弟か何かに向けているような気がする微笑み。

 結婚退社した後も、カイトが手放さないわけである。
 彼女なら安心して、何でも任せられそうな気がしたのだ。

 メイは、そういう気持ちをそのまま素直に伝えた。

「あら…そうでもないのよ」

 すると、少し意地悪にハルコは微笑んで。

「元々、秘書になる前からの知り合いで…私の夫は、いまでもカイトと大の仲良しだわ」

 大学で知り合ったのよ。

 そんな話ができるようになったのは、もう夕方。

 夕食の準備に取りかかった頃だった。

 メイはジャガイモをむいてゆではじめていた。マッシュポテトにするのだ。

「大学…?」

 メイは、また不思議だった。

 もしかして、彼女はカイトと同じ年だろうかと思ったのだ。

 けれども、見間違いでない限りは、どう見てもハルコの方が年上に見えた。

「そうそう、私と夫が大学3年の頃ね。同じサークルだったシュウ君のところに、遊びに来た新入生がいたの。まだ入学式が終わって、何日かたったばっかりくらいの時に」

 ハルコは、スープをかき混ぜながら、思い出すような目線になった。