「夏花、夕飯の支度、頼める?あと、チロとマロンの散歩も」


さすがに、少しだけ化粧し、新しいTシャツに着替え出かける支度をした母が訪ねる。


チロとマロンは我が家の愛犬たちの名前だ。


15歳のおじいちゃん犬がチロ(黒い中型犬の雑種だ)。二歳でわんぱく盛りのダックス犬がマロン。


チロは外に、マロンは家の中に、それぞれのテリトリーを張り暮らしている。


「えぇ〜!無理」


「なして?」


「デートだもん」


そう言うと、母は露骨に嫌な顔をした。