この家が曰く付きと呼ばれるには理由がある。


それは、住人がわずか数年でいなくなること。


それも、たいてい不幸な理由で。


一番始めにこの家に暮らした一家は、ごく普通の4人家族だった。父親と母親、それから小さな男女の兄弟。


しかし、新築した家に二年と留まらないうちに一家は離散した。


原因は、父親のギャンブル。


小さな兄弟を連れて母親が出て行くと、父親もすぐにいなくなった。


二番目に入居したのは、若い新婚夫婦。


アウトドアが好きで、よく二人でスキーやキャンプへ出かけていた。


夫は無愛想だったが、妻だった人は愛嬌がよく、顔を合わせれば挨拶をしたし、大志にも優しかった。


でも、半年もしないうちに、二人もいなくなった。


夫だった男に、若い恋人ができて、はらませたのが理由だと近所の人が噂していた。


夫が、妻より10才も若かったのだと知ったのは、ずっと後のことだ。