老犬チロと私たちの絆

「ずいぶん長い散歩だなぁ」


ただでさえ機嫌が悪いというのに、帰宅して一番に父の嫌みを聞いた私は、さらに苛立つ。


「また、あの男といたのか?ん?」


晩酌しながら、父がじろりと睨む。


普段は無口な父は、酒を飲むと、途端に饒舌になる。それどころか、絡んでくるから始末が悪い。

「関係ねぇべよ!」


「なんだって?親に向かってその口のききかた…」


父が腰を浮かせたとき、母が、「あんたたち、やめてよ」と止めに入った。


「親なら親らしく、専門学校の金ぐらい出してよね!」


とどめの一撃とでも言うべき私の言葉に父が硬直している。さすがにバツの悪くなった私は、ぷいと踵を返した。


母が、「夏花!」と怒り口調で叫んでいる。