リビングでは、弟の大志がどんぶり飯をかきこんでいた。


「大志、オハヨー」


「…はよ」


大志は、手の動きを少しだけ止めて、小さな声で答える。


目も合わせない。


ものすごくシャイとか、ツンデレというわけじゃない。


二つ年下の大志は、脳に障害を持って生まれた。

体がどんどん大きくなっても、声変わりしても、大志の心は、ずっと幼子のままなのだ。


小学校までは、私と同じ学校の特殊学級に通ったが、中学から、大志は養護学校へ移った。


他の生徒からのイジメにあい、登校拒否になったからだ。