老犬チロと私たちの絆

「適当に流すか」


千尋はドライブが好きだ。


免許を取って、自分専用の車を持ったのが嬉しくてたまらないのだと言う。


時間のある時は隣県へ日帰り旅行したりもする。

そう話すと、友達は、「やっぱり車持ちの彼氏はいいなぁ」と羨ましがる。「千尋さん、イケメンだし」とも。


片方でハンドルを握り、もう片方の手にタバコを挟む千尋の横顔を私は盗み見る。


サラサラの茶髪。


筋の通った鼻。


薄く笑うと大きい口に、切れ長の目。


こんがり焼けた肌に、筋肉質な腕。


やっぱり、千尋はかっこいい。