老犬チロと私たちの絆

「もうすぐねぶただね?」

色んな物(落ちているごみや他に散歩していた大型犬など)に興味を示しながら進んでいくマロンの長い背中に問いかけてみる。


「マロンにとっちゃ、恐怖の一週間か?」


普段はうるさいくせに、マロンは大きな音が苦手だ。


ねぶた祭りや花火大会へ連れて行くと、ブルブル怯える。気の毒なほどに。


体の芯まで揺るがすような太鼓の振動や、花火のドーンという響きにいちいちビクビクして、食欲まで落ちてしまうのだから可哀想なこと、このうえない。


臆病なのだ。


「チロはね、お祭り大好きなんだぞ。果敢な番犬だったんだぞ」


痛いとこをつかれたと思ったのか、マロンは知らん顔している。


都合の悪いことを聞かなかったことにするのは、犬も人間も一緒だ。