老犬チロと私たちの絆

夕方とはいえ、まだ外は全然明るい。


外に出たことでマロンは興奮し、ぴょんぴょんと跳ねる。


「こら、大人しくして」


チロがのそのそと小屋から出てきて、私とマロンのやり取りを静かに見ている。


「マロンは、あんたと違って落ち着きがないから」


そう言い訳すると、チロは、スンスンと鼻を鳴らした。


お皿には、食べかけのエサと並々に注がれた水。

きっと、大志がやってくれたのだ。


チロに見送られ、私とマロンは散歩へ繰り出す。

マロンは、その小さな体から有り余る力でずいずい先へと進む。


バイバーイと明るい子供たちの挨拶と、部活帰りの中学生のこぐ自転車の音。民家から漏れる、その家の声。


遠くの公民館から、町内の子供たちが、ねぶた囃子を練習する音が聞こえてくる。