「まったく、あんたは!いつまで寝てる気だ?!早く飯くっちまいなよ」

大きな声で言うと、母は、踵を返し、のしのしと階段を降りていった。


Tシャツの背中を濡らす大量の汗染みと、たっぷりついたぜい肉の後ろ姿が視界から遠ざかるのを、私は寝ぼけ眼で見送る。


母が女を捨てたのは、いつからなのだろうか?


急激に太り始めたのは?

日焼け止めクリームすら塗らなくなったのは?


…母は、幸せなのだろうか?


そして、また、同じことを思う。


母のようにはなりたくない、と。