老犬チロと私たちの絆

「帰ろうか?」


しばらくぼうっとしていた私は、暑さに耐えかね、そう声をかけた。


チロは、すんなりとリードをつけさせてくれる。

私たちは、徒歩三分の道のりを倍の時間をかけて歩く。


額には汗が滲み、喉がカラカラだ。


やはり、昼間の散歩はきつい。私にも、チロにも。


チロは、舌をだらりと垂らしながら、心配そうに私を見上げた。


「ごめんね、お前のほうが辛いよね?」


チロは小さく鼻を鳴らし、しっぽで返事をした。