老犬チロと私たちの絆

家から徒歩三分ほどの場所に、その公園はあった。


錆びた鉄棒と、薄汚れたベンチ、石ころだらけの砂場があるだけの小さな公園は、草が伸びて、あれ放題だ。


かつて、この公園には、ブランコがあり、滑り台があり、シーソーと、それからUFOがあった(UFOみたいな丸い形をしていたのでそう呼ばれた。グルグルと回るUFOは一番人気の遊具で、ここはUFOの公園と呼ばれていた)小さいけれどたくさんの子供たちが集まったものだ。


けれど、いつからか、遊具は一つ、また一つと減り(けが人が出るたびに撤去された)、それにともない、子供たちの姿も消えていった。


この公園は、チロのお決まりの散歩コースで、ゴールでもある。


リードを放してやるやと、チロは、草村で用を足し、草花の匂いを楽しみ、遊具の跡地をゆっくりと回るのだ。


それだけでチロの息はあがってしまう。


もう昔のように、広い原っぱや、砂浜の続く海岸をチロは求めていない。

輝きを失った、それでも、澄んだ美しいチロの瞳の中に白い雲が流れていく。