老犬チロと私たちの絆

「それ、飲んだらお散歩行こっか?」


赤いリードを見せると、チロは少し困ったような顔をした。


けれど、相変わらず、しっぽはユラユラ揺れている。


大好きな散歩へ行くのも、億劫になるほど、チロは老いてしまったのか。

その事実を認めるのは、たまらなく切ないことだった。


けれど、日がな繋ぎっぱなしにしておくわけにもいかない。


チロは、とても賢く繊細なので、敷地内で粗相することができない。


私は、ビニール袋とシャベルなどの入った散歩バッグ(銀行でもらったもので金魚の絵が書いてある)を手に、チロと並んで歩き出した。


かつて、物凄い力で私を引っ張り、駆け出したチロが、今では、私の後ろを、ゆったりとついてくる。


それでも、私と一緒に歩けることが嬉しいのか、しっぽは揺れていた。