細やかな光の粒子が、いくつも、いくつも重なり合って、まぶたの上をさらさらと滑り落ちてゆく…。


「…か!夏花!いつまで寝てるつもり?早く起きろー!」


まどろみから、急激に現実へ引き戻すのは、いつだって、母の大きすぎる声だ。


うるさいなぁ…。


クーラーのついていない私の部屋は、そりゃもう、蒸し風呂のように暑く、息苦しい。


それでも私は、タオルケットをすっぽり頭まで被った。


「いい加減にしろ!」


力任せにタオルケットを剥ぎ取られ、私は不機嫌に母を見上げた。


『商会』とプリントされたタオルを恥ずかしげもなく首に巻き付けた、母の呆れ返ったような顔。


日焼けして、てかてかと光る化粧気のない顔に刻まれたシワは、年々深くなってゆく。


昔は、キレイだったんだけどなぁ…。


いつからだろう?


こんな風に年を重ねたくないと、母をみるたびに心に誓うクセがついたのは…。