しかし、鬼神院には借りがあるため、断ることはできない 「……あいつは今頃なにをしているのだろう」 あいつとは、頭領の嫁のことだ 彼女との出会いが白雲を狂わせた ひどく冷め切った心に温かみをくれた彼女に、いつの日か心を奪われていた そして白雲は頭領の嫁と同じ、元人だった 白雲が鬼になりたての頃は、元人の鬼は大変嫌われた その頃は妖怪たちが溢れていた時代だったため、今のように自分の意志で人を鬼化させることはなかった