私の目は、小さい頃に失明した。
両瞼に誤ってコンパスを刺し、眼球の水分が減り失明た。
みんな、私を可哀相だと言ってくれる。
でも、彼は違う。
彼は、私に可哀相だとは言わない。
代わりに、
「お前は幸せ者だな」
と言ってくれる。
「どうして?」
と聞くと、
「だって生きてるから」
そう言っていつも猫のように笑う。
じゃあ、彼は?
生きていないとでも言うのか?
じゃあ、彼は?
大切な人が死んでしまったとでも言うのか?
「でも、可哀相だ」
「え?」
「だってこんなに綺麗な星空を見ることが出来ないんだからな」
どうして、そんな事を言うの?
まるで、彼は星の使いみたい。
多分、彼の目は黄で、そして髪は漆黒の黒なんだろうな。
そう、まるで星空のような。

私はこの話を彼に送ります。
このお話は、私が彼に恋をしていた頃のお話です。