「――まぁ、この話はこのあたりにして」




急に話し方が変わる星宮に手招きされて、近付く。


蓮があたしの名前を呼んだけれど、大丈夫、と笑い掛けた。




「おめでとう、真梨ちゃん」




星宮の近くまで行くと、頭を撫でられながらそう言われて首を傾げる。




「わからなくていいよ、今は」


「そうなの?」


「うん」




いつもの様に笑って、髪を梳かれる。




「…髪、綺麗だね」


「そう、かな」




ポツリと呟いて、俯く。


よく言われる、決まり文句。


わかってる、星宮のそれは本心だって。


でもこの髪の色は、瞳の色は、あたしをいつも苦しめた。




「瞳も、綺麗」


「……」


「言っとくけど、真梨ちゃんじゃなかったらこんなこと言わないからね」




え、と顔を上げると。




「まあ、昨日勝手に髪の色を元に戻したのは面白半分だったんだけど」




ちゅ、と小さなリップ音をたてて頬にキスをされた。




「真梨ちゃんだったらきっと、どんな色だったとしても綺麗だと思ったよ」






…馬鹿みたいな、口説き文句。