「あたしに寂しいって感情なんていらない…」
なんで。
なんでこいつはこうも自分の感情を押し殺そうとするんだよ。
「こんな感情…邪魔なだけ……っ!!」
「おい…」
落ち着け、そう言い聞かして止まっていた手で背中を擦る。
「真梨…」
「やめてってば…!」
「何が気にくわないんだよ…?」
ポツリと零れた言葉に、真梨が俺から体を離して顔を上げる。
「全て、」
「……」
意志の強い瞳で見つめられて、声が出ない。
「感情なんて、虚しい感情なんて全ていらない……
“悲しい”も、
“寂しい”も、
“悔しい”も、
全部捨てて来た……っ。
そんな感情があるから人はバカなんだよ…!
愛とか恋とか何なの…?!
あたしは寂しくなんかない…!!そんな感情いらない…」
苦しそうに眉を顰めた様子は、それを言うことすら苦しそうで仕方がない。
「でも、蓮さんのこと好きなんだろ?」
そのことに、俺は妙な自信を持っていた。
だって、蓮さんに助けを請うていた真梨は、確かに蓮さんだけを見ていたから。


