愛して。【完】






出来るだけ早く、小走りでその場を抜け出す。


外に置いてある、乗ってきたワゴン車を開けて水川真梨を後部座席に乗せた。




「大丈夫かよ」


「……うん」




水川真梨はそう言うけど、震えは止まらない。




「寒いか?」


「大丈夫」


「毛布いるか?」


「うん…」




後ろのトランクから小さめの毛布を取り出して、水川真梨に渡す。




「毛布とかあるんだ…」


「一応な。多分蓮さん達の車にも乗ってる」




俺の適当な説明に、へぇ、と水川真梨は声を漏らす。


そして黙り込む水川真梨に、どうしたものかとその顔を覗き込んだ。




「水川真梨…?」




その顔は何とも言えない表情で。


苦しいのか、

悲しいのか、

寂しいのか、

悔しいのか、


わからない。


でも、水川真梨が返して来たのは




「フルネームで呼ばないでって言ったじゃん」




そんな言葉。