愛して。【完】






「そう、星宮千早。フルネームなのはいただけないけど」




さっきも同じようなこと聞いたな、なんて。


心の奥底で思ってみるけれど、あたしの体の震えは治らない。




「じゃあ、星宮?」




さっきの異常なパニックを掻き消すようにおどけて言ってみたけれど、目の前の星宮は眉間に皺を寄せるだけだ。


そしてまた近付いてきたと思ったら、そっとあたしの背中と頭に手を回して抱き締めた。




「星宮…?」


「呼び方はそれでいいけどさ、無理して笑わなくていいから」


「え…」


「もう変なことはしないから。だから、震えが止まるまではこうしててあげる」




しててあげるって…星宮ってちょっと俺様?


蓮も俺様っぽいとこあるし…総長ってそんなものなのかな。




なんて、どうでもいいことを考えて気を紛らわそうとしてるあたし。


でも、震えは止まってくれなくて、むしろ増している様な気さえする。




「真梨ちゃん……」


「何?」


「ううん、なんでもない」




何を言うのに躊躇したのだろうか。


まあ、この震えがなぜ起こったかは、聞かれたって答えられないけれど。