愛して。【完】






「「あ…」」




部屋から出ると、目の前には光が立っていた。


驚いたような光は、あたしが虎太郎に連れて行かれるところを見ていなかったのだろう。


そして、それは本当のあたしを見たのも今が初めてということになる。




「水川、真梨…」


「掃除は終わったの?」


「あ、ああ、終わったけど」


「ふうん」




確かに倉庫内から人はあまりいなくなっていて、いる人も掃除などしていない。


さっきのおかしな光景から一変、普通に戻っていた。


光はあたしの色にはたいして興味無いようで、普通に話し出す。




「水川真梨は何でここにいんだよ?」


「んー?虎太郎とちょっと話してただけだよ」




部屋の中でのことを思い出して、自然と笑顔になる。


こんな、虎太郎みたいな人もいるんだと、あたしらしくもなく嬉しくなってしまった。


この世界も捨てたもんじゃないな、なんて嬉しかったんだ。




「そーだ」


「あ?」




眉間に皺を寄せる光に、悪戯に微笑む。


こいつは嫌がるだろうな、と思って。




「そろそろフルネームで呼ぶのやめない?」