大河も颯も俺の心境がわかっているはずなのに、
「そう言えば、真梨の保険証とかないけど大丈夫なのかよ?」
「そんなの大河が心配することじゃないでしょ。タカの親父さんがなんとかしてくれるって」
なんてどうでもいい会話を繰り返している。
あぁ、もうこのケータイ折ってもいいかな。
このメールごと、折ってやりたい。
だって、このメールには真梨に少なからず俺と同じ経験があることが示されてる。
あの、地獄とも似たようなものを見たのだろうか。
否、見てきたからこそ今の真梨がいるのかもしれない。
そして、その事実に気づいているのは、きっと俺だけ。
どくんと胸がなれば、苦しくなって現実から目を逸らしたくなる。
だって、嫌いなはずの女が、ただの小さな女の子にしか見えないのだから…


