愛して。【完】





風呂上りでも普段と変わらない派手な顔立ちは、常にスッピンであることを教えてくれて。


遊んでいることは明らかなのに、時々見せる儚げな表情は人の心を奪っていく。


被っている皮さえ剥がせば、間延びしない普通の口調。


それなのに色気を含んだ声は甘く聞こえる。




これが、あの――水川真梨。


噂通りなのに噂通りでない真梨は、俺を動揺させるには十分で。


でもそれを心の中で認めたくなかったし、ばれたくなかった。


だから真梨なんてどうでもいいかのように振る舞ったりしたけど、真梨は全てわかっているのだろうか。




わかっていない――それはわかり切った事実であるのに、わかっているような気がしてくる。


だって、俺のただの被害妄想かもしれないけれど。


俺の弱みに漬け込んでいるとしか、思えない。




“栄養失調”だなんて…




“栄養失調”


それは、所謂“栄養不足”


食事を取っていたとしても、栄養が取れていなければなり得る。


だけど、真梨をそうだと思わないのは何回か抱き締めているから。




そう。

確かに真梨は、細かった。


死にそうなほど細いわけじゃない。


でも、普通の人よりは何倍も細いと思う。


腕なんて今にも折れそうだし、太腿は多少肉がついてるみたいだったけどそれでも細い。


ウエストだって細いし…ただ、胸は大きかったけれど。


きっと、元々がつく所についてつかない所にはつかないタイプであるのだろう、それも関係あるんだと思う。




タカからのメールによれば、ちゃんと食事を取るようになったのは三、四年前の可能性が高いらしい。


ということは、その前はもっと細かったのだろうか。


その前から真梨の噂があったことは知ってるけど、その頃の真梨に遭遇したことはない。


だけど、その頃今より細かったとすると、そういう情事をする体力はないと思う。




でも、その噂が嘘だとも思えない。


確かに噂の水川真梨は存在しているんだから。