――そう言えば、知ってる人が作ったご飯を食べるのは、初めてかもしれない。
菜穂は料理が大の苦手だったからあたしが作ってたし、母親に作ってもらった記憶なんてない。
小さい頃は、勝手にそこにあるものを食べてた記憶があるくらいだし。
「本当に美味しい…」
夢中で料理に箸を伸ばす。
その間も、涙は止まらない。
「こんなに美味しいもの、食べたの初めて…っ」
目の前がクリアになっては、また霞んでいく。
「ごちそうさまでした」
そう言う頃には、隼が隣であたしの頭を撫でてくれていた。
きっと、食べた量はほんの少し。
でも、みんなの視線が温かくて、なんだかくすぐったくなった。


