「真梨?」
あたしを問い掛けるタカの声に、ハッと頭を切り替える。
周りを見れば、みんなあたしを見ている。
その視線だけでは、みんなが何を思っているのかわからない。
もちろん、隼が何を思っているのかもわからない。
でも、このお箸をくれたってことは、あたしがここに住むことはみんな認めたってことなんだろう。
「ありが、と…」
ポツリ、呟いたと共にお箸を受け取れば、蓮は口角を吊り上げた。
お箸を受け取ってしまえば、流石に食べないわけにはいかない。
少しだけ、と目の前に置かれた味噌汁を手に取って口へ運ぶ。
温かい味噌の味が口の中に広がれば、なんだかホッとした。
「美味しい…」
自然と緩んでいくあたしの頬に、タカは豪快に歯を見せて笑う。
「そりゃよかった。作ったかいがあったな」
作った…?
それって…
「コレ、タカが作ったの?」
「あぁ」
「本当に?」
「本当だ」
「うそぉ」
「うそじゃねぇし」
目の前に並んだ料理を見る。
これを全部、タカが?
本当なら、あたしより上手いかもしれない。
もう一口、味噌汁を口に運ぶ。
――美味しい。
目の前が、霞んで見えて。
「真梨?」
「おい、しい…」
零れた言葉と共に、何か温かいものが頬を伝った。


