愛して。【完】






「は…?」




漏れたタカの声と同時に、その場が凍りつく。


もう5月だと言うのに、空気が冷たい。




「いらないって…お前、わかってんのか?!朝からなんも食ってねぇんだぞ!!?」




タカの声だけが部屋に響く。


そんなに怒鳴らなくてもちゃんと聞こえてるのに。


て言うかあたし、




「朝から何も食べてなかったんだ…」




そんなあたしに呆れたのかなんなのか、タカは口を開かない。




「もういい?」




そう言ったあたしに反応したのは蓮だった。




「待て、真梨」


「何?」


「ちょっとでもいいから食えよ」


「だから食欲ないって…ぅわっ」




色気のない叫びと共に体が揺れる。




「はいはい、とりあえず座ろうか」




後ろからあたしの腕を掴んだ颯が、3人掛けソファーの方に引っ張る。


捻挫の所為でバランスの取りにくい体は、いとも簡単に柔らかいソファーに沈む。




「ちょっ「なぁ、もう食っていい?!これ以上待てないんだけど!!」


「はいはい、さっさと食べな」




わざとなのかなんなのか、反抗しようとしたあたしの声を遮った隼は、タカの言葉を聞くと弾んだ声で「いただきます」と言うと、料理に手を伸ばし始めた。