愛して。【完】






部屋に沈黙が落ちる。


その沈黙を破ったのは、親父だった。




「あの子…水川真梨さん、って言ったよな?」




どうやら親父は、蓮自ら珍しく連れて来た真梨が気になるらしい。




「あぁ」


「あまりいい噂が無いと聞いたが…?」


「そうだな」




何かと思えば、真梨の噂の話か。


でも、真梨は俺等の年代には有名だが、一つ上の年代へ行けばあまり知られていないはず。


親父がなぜ、それを知ってるんだ?




そんな俺の疑問を読み取ったのか、


「怪我で入院してるガキが騒いでたから聞いた」


と言う。




「…で、毎日のように遊んでるそうだが…本当にか?」


「本当…のはずだけど」


「ふーん…」




俺の言葉に腑に落ちないような表情をする親父に、首を傾げる。




「何か引っかかることでもあるんですか?」




眉間に皺を寄せながら言った蓮の言葉。


意味が、分からなかった。




真梨が“遊んでいる”それは紛れもない事実だ。


それだけは変わることが無いと、絶対に言える。




――それが真梨にとってどんな行為でも。