愛して。【完】





「ちょっといいか?」




そんな親父に「あぁ」と返して、蓮をチラリと見る。


俺の行動に気付いたのか、「蓮くんも一緒に」と言ってヘラリ笑った。




人がいない所へ行こう、と言う親父について歩く。







親父――郷田健司【ごうだけんじ】は、この病院の院長だ。


俺を含めた四人兄妹の父親であり、祖父から継いだ二代目院長。


聞く所によると、内科やら外科やら色んな所に手を出しているらしい。


まぁ、普段は内科の医師をやっているけど。




俺は一応兄妹の一番上だが、この病院を継ぐとか言うのは考えたこともないし、言われたこともない。




親父いわく、


「血とかそんな繋がりよりも、優秀な者を置く、それが最優先だろ」


だそうだ。




どちらにしろ、まだまだ院長の座を譲る気はないそうだが。




ちなみに今真梨ちゃんが診察を受けているだろう外科の医師は俺の叔父さんで、副院長をしている。


いつも優しく笑っていて、少し頼りないが腕は確かだ。










『応接室』と書かれたプレートのついた扉を開け、中に入る。


中には主に一人掛けソファーと二人掛けソファー、そして机が置いてある。




机を挟むように置かれているソファーの一人掛けの方にドカッと座った親父を見て、俺達も二人掛けソファーに腰を下ろした。