「真梨」
「ん」
「もう病院着くから、」
蓮の言葉を聞いて、目がすっかり開いたらしい真梨。
自分の状態にも気が付いたようで、「あ、ごめん」と言って蓮から離れた。
車が止まれば、蓮は自ら真梨を持ち上げて病院へと向かっていく。
本当、真梨が心配なのかなんなのか…こんなに必死な蓮は初めて見る。
そんな蓮を、少し駆け足で追いかけた。
県内有数の、大きな総合病院。
内科、外科から歯科まで、幅広い分野を取り扱っている。
真梨を外科に送り出して、待合室で待機する。
待合室の椅子に座ったまま何を思っているのか、蓮はボーッと外を見詰めていた。
「鷹樹」
聞きなれた声が聞こえて、顔を上げる。
そこには、白衣を着た大人の男――つまり医者が立っている。
下手をすれば三十代にも見えるこの男は、今年でもう50だ。
「親父…」
椅子から立ち上がれば、同じ目線。
隣の蓮も同じように立ち上がって、その男――俺の親父に頭を下げた。


