愛して。【完】






「別に…」




何となく、と続いた言葉を飲み込んだ。


だって、自分でもよくわからないから。




蓮に連れてこられて、ここまで来て。


蓮に言われて、沢山のモノを捨てた。


住んでたアパートも、そこにあったモノも。


たいしたモノは無いから、別に何ともないのだけれど。


自由だってないし、男と遊ぶこともできない。


多分、菜穂に会うことすら頭の硬い蓮は許してくれないと思う。




だだ、あるのは――…


お金と、“仲間”と言う名の温かさ。


そんな温かさを知らないから、憧れるから、ここにいるのかもしれない。


そんな綺麗な所に汚いあたしが入れないこともわかっているけど、少し憧れているのかもしれない。




…そんなこと、颯やみんなには言えないけど。


まだ、前を見据えている颯を見て、口を開く。




「…颯は、何であたしが“姫”になることに反対しなかったの?」




颯はハッとしたように、あたしに視線を移した。