【颯side】
たった今、真梨ちゃんが出て行った扉を見詰める。
『颯は“仲間思い”だね』
そう言って笑った真梨ちゃんは、“俺”と言う人間の心理がわかっているのかもしれない。
いや、俺達が似ているから知っているだけなのか――…
でも、別にいいと思わない?
真梨ちゃんが、俺にとってどうでもいい人間でも。
あっちだって、俺達をどうとも思ってないんだから。
――正直、俺は真梨ちゃんみたいな人種は嫌いだし。
妙に説得力のあることを言って、自分を正当化しようとするような、そんな人種は。
まぁ、俺も同じ人種だけど。
だから、俺は。
自分のことも…大嫌いだ。